焚き火の魅力と癒し効果を10倍ひきだす虎の巻

焚き火の前にいるとリラックスします。心が解き放たれ、ゆったりとした感覚になります。素直で自然体の自分に戻れます。初対面の人でも仲良くなれます。人と人をつないでくれる存在でもあります。

焚き火と癒し、コミュニケーションは密接な関係があります。本記事では焚き火にしかできない魅力を10倍引き出せるコツとツボを紹介します。

焚き火の歴史に思いをはせる


遙か昔、人が火を手に入れてから随分長い時間が経ちます。暮らしの傍らには必ず火がありました。

太古の遺跡から焚き火の痕跡が発見されています。100万年前に南アフリカの洞窟で草木を燃やした獲物を食べた形跡があるそうです。

火は古来から人を守ってきました。人類発展の最大の要因は火を手に入れたことだと言われます。人類は火を操って道具を開発して進化してきました。火の対する敬意と愛情は人間のDNAに刷り込まれているのでしょう。

焚き火は人類の原点。安心の象徴と言えます。

焚き火は衣食住とつながる

焚き火には「明かりを灯す」「暖をとる」「調理をする」の3つの効能があります。住まいに明かりを灯し、夜間でも活動できる環境を確保する。古代には明かりは動物から身を守ってくれました。

からだを保温し衣類を乾かして寒さから身を守ってくれる。食物や水を加熱調理し、安全に口にできるようにする。このように焚き火は衣食住の3要素に密接に関係しています。

焚き火と癒し

焚き火のもう一つの効能が「精神的安定」です。文明から遠く離れた環境の中で精神的ストレスを和らげてくれます。暗闇の中で灯る明り、じんわりとした暖かさ、料理の美味しい臭い、炎のゆらめきと薪の爆ぜる音の癒やし効果。一人でいる時には孤独や不安を和らげてくれます。

五感が開く体験ができるのも焚き火の特長です。薪拾いをしながら木枝や森と触れ合う、時折薪がはじけパチパチと音をたてる音、じんわりと伝わってくる炎のぬくもり、柔らかに瞬く熾火。木々の揺れる音、煙のにおい・・・一度に五感が開くものは他にはないかもしれません。

焚き火の温もりが皮膚感覚から伝わると、脳は精神的な抑圧から解放されるような気分になります。文明が発達して人間は自然とのやりとりを失いつつあります。でも脳は無意識のうちに原始からの焚き火の効能を覚えているのでしょう。

焚き火の炎には1/fゆらぎがあるといいます。1/fゆらぎとは、波の音、星のまたたき、風の音、小川のせせらぎに感じられるものです。

ただそういう理屈ではない世界に焚き火本来の魅力があります。火を見ていると何となく落ち着き、素直な気持ちになれるのは悠久の昔からの遺伝子がそうさせていると感じます。

焚き火とコミュニケーション

焚き火のまわりに人が集まれば自然な会話が生まれます。同じ火を見つめる。薪を動かしてみる。相手の顔を見なくていい。話したくなければ無理に話す必要もない。あくまで自然体。適度な距離感と一体感の中、特別な時間を共有します。

時間を忘れて、焚き火の火だけを見て無言になっている人の輪。聴こえるのは焚き火の爆ぜる音。お互いに無理をしない。ありのままの自分でいられる。

これこそ焚き火コミュニケーションの真骨頂です。焚き火は、他者とのコミュニケーションを自然な形で促します。同時に自分とのコミュニケーションを演出してくれる相棒でもあります。

秋から冬になると落ち葉焚きで焼き芋をつくりました。「火遊びしたらおねしょするよ」と脅かされながら火をつついた記憶。ひと昔前、焚き火や落ち葉焚などに人が集まる機会は日常の風景でした。火はコミュニケーションを促進する重要な役割を果たしてきました。

「火にはなんらかの心理的効果があり、コミュニケーションを促進する効用があるのではないだろうか?」という仮説を持つに至った。環境心理学の分野では、「自然の風景には癒しの効果があり、見ていると集中力が回復する」ことがよく知られており、「火にも同様の効果があるのでは」と考えたのである。そこで、部屋に暖炉があって火が見える条件と暖炉がない条件を設定し、それぞれの条件において初対面の二人が会話をする実験をすることで、火にコミュニケーションの促進効果があるかどうかの検証を行った。引用元:大阪ガスエネルギー文化研究所

こうした興味深い論文もあります。

心理学で「安心安全な場」と呼ばれるものがあります。この場ではどんなことを話してもいい。批判や否定がない。みんな受け容れてくれる。そんな場です。

安全安心な場は、自己開示と他者受容の両方がないとできません。焚き火はそれができる場を演出してくれます。焚き火最大の魅力はフラットなコミュニケーションと人とのつながりをつくることにあります。

人のまん中に焚き火

かつて日本の家には囲炉裏やかまどがありました。火を囲んで食事をし、暖をとり、団らんし、安心して眠る。日々の生活は火を焚く炉、囲炉裏を中心に営まれました。

こたつや鍋でも同じことが言えます。人は誰でも、暖かくて明るい場所に寄りたがります。

ネイティブアメリカンには「トーキングサークル」と呼ばれる風習があります。「車座になって座し、話をすることでこころの内を共有することはネイティブの伝統である。/ジョン・ピーターズ(スロー・タートル)ワンパノアグ」と引用されています。

焚き火とバーベキューのちがい

焚き火とバーベキューは一見同じもののようにとらえがちです。でも全く違うものです。

共通点は火を中心に人が集まってくるというところ。

コミュニケーションの視点では、バーベキューは大勢でワイワイやりながらたのしむもの。焚き火は少人数で小さな火を囲んで静かな時間を共有したり語り合うもの。そして一人で自分と向き合える時間をつくり出せるものです。

調理という視点では、バーべキューはバーナーや着火剤をつかって炭をおこします。焚き火はマッチ1本でおこした火を少しずつ育てていきます。

バーベキュー=焼肉、焼き野菜というイメージに対し、焚き火料理は焚き火だけを使って調理し、食材まるごとを生かしたシンプルなものです。

焚き人スタイルは無骨でワイルドなものはなく、シンプルだけどちょっとオシャレ、こだわり感のあるものです。焚き火料理には熾火が最適。遠赤外線効果で表面はパリっと中はホクホク、食材のうま味を逃さずいただくことができます。

本格的な焚き火料理といえばダッチオーブン。煮る、焼く、炊く、揚げる、蒸すが放っておいてもおいしくできる魔法のなべ。これなしで焚き火料理は語れません。

自分で焚き火をしてみたいときのコツと注意点

さあ、はじめて焚き火をやってみたい!そんな時にはどうしたらいいのでしょうか?

まず焚き火をどこでやるのかを調べることから始まります。次に必要最低限な道具を用意します。実際に現場に行ったら焚き火ができる準備をします。

そして実際に火をおこしをします。焚き火をしている最中は安全管理を怠らないでください。最後は焚き火のあと始末。

一連のながれをおさえておきましょう。ではここから先は各々の詳細について解説します。

焚き火ができる場所

まず焚き火をする場所には多くの制約があります。焚き火をしようとする場所がどういう状態なのかを確認してください。法令や自治体の条例でも記載があります。

次の焚き火をする方法です。直火禁止という事項を覚えておきましょう。直火とは地面で直接焚き火をすることをいいます。大半の場所で直火は禁止です。なので焚き火をするときは、焚き火台という専用の台を用意します。

こうしたことをふまえると、焚き火が安心してできるのはキャンプ場ということにななります。最近ではキャンプ場でも直火禁止のところの方が多くなっています。事前にルールを確認しておいてください。

焚き火の道具

焚き火をするのに必要な道具は、焚き火台、マッチ、グローブ、着火剤、薪、うちわ、火ばさみ、バケツといったところになります。加えて、のこぎりやナイフがあるとさらに便利です。

なかでも焚き火台にはたくさんの種類があります。焚き火を囲む人数、どんな用途で使うのかを考えてチョイスしてください。

焚き火はお金をかけずにできます。道具だらけになって、焚き火そのものや自然との一体感を感じられないことになると本末転倒です。まずは必要最低限からスタートしましょう。

薪(たきぎ)拾い

焚き火は薪拾いから始まります。市販の薪を買ってやるのももちろんありですが味気ないし、たのしさを半減します。

自然の着火剤はスギの枯葉がベストです。薪は乾いた木枝を集めていきます。森や林に入ると薪がたくさん落ちています。近隣の公園でもOKです。知らず知らずに作業に没頭し、自然との一体感を得ることができます。

常日頃気にも留めないところに目を向けることで木や自然に関心が湧いてくるから不思議です。

「この木は何十年この場に立っているんだろう?」「ずっとその間自分たち人間を見てきたんだろうなあ」そんな気持ちになります。

自然があって自分たちが生かされていることを実感します。一度薪拾いの魅力にハマるとやめられなくなります。

自然のものが手に入らないときは、新聞紙や牛乳パックなどを代用することもできます。

焚き火の火熾し

集めた薪は太さごとに仕分けします。火が着いたときに慌てずすぐ次の薪が投入できるよう手の届くところ置いておくためです。薪が長いときはのこぎりで切ります。

次に薪を組んでいきます。着火剤、極細、細、中、太と火が着きやすい順番に重ねていきます。焚き火台を使う場合と直火の場合で組み方は異なります。

そして着火。着火剤に火をつけます。その火が細い枝に燃え移っていくのを見守ります。ここで大切なのが、決していじったりうちわであおいだりしないこと。小さな火を少しずつ育てていくイメージです。

焚き火がなぜ燃えるのかの原理を知っていると、火おこしの仕方が理解できます。焚き火が燃えるには、燃料と熱と酸素の3つの相乗効果が必要です。

このうちのどれかが欠けると焚き火はうまく燃えません。燃料つまり薪が適度に入っているか?温度を保つよう熱が集中しているか?空気を十分に取り込めるようになっているか?この3つを意識してください。

焚き火の薪~針葉樹と広葉樹

焚き火に使う樹木には大きく2つの種類があります。スギ、マツ、ヒノキに代表される針葉樹とクヌギ、ナラ、カシといった広葉樹です。

針葉樹は燃えやすいけど火持ちが良くありません。広葉樹は火つきが悪いけど火持ちがいいです。火おこしから最初の段階では針葉樹、火が安定してきたら広葉樹という順番で使い分けましょう。

焚き火の安全管理

火を扱うということは危険との隣り合わせです。安全管理をしっかりやりましょう。

忘れがちなのがバケツに水を入れて置いておくこと。周囲に燃え移ったときにいち早く消火できるのはバケツです。

ときに衣服に引火することがあるので注意が必要です。特にナイロン生地のもの、袖口は火がつきやすいです。服やタープに火の粉が飛んで穴があくなどよくあること。着ていく服装にも注意しましょう。

焚き火をしていてよくあるのがちょっとしたやけどや切り傷。やけどは保冷剤で冷やす、切り傷対策で消毒液とバンドエイドを持参しておきたいものです。もちろん大きな怪我になったときは病院での治療になります。

焚き火のあと始末

焚き火をたのしむならきちんとしたあと始末までを意識してください。決してやりっ放しで帰るようなことはしないでください。あと始末ができないのなら焚き火をしてはいけません。

一番望ましいゴールは薪をすべて燃え尽くて真っ白な灰にすること。薪にとってもエコロジーな姿ですね。

すべて燃え尽くすためには撤収時間から逆算して薪の投入を考えておく必要があります。中途半端に薪を投入すると燃えカスをつくってしまうことになります。

もし燃えカスが残ってしまったら、温度が下がったのを確認して水をかけます。薪は燃えていなくても高い熱をもっているので注意してください。

時折、燃えカスをそのまま残すとか、地面が汚れたままになっている光景を目にすることがあります。多くのキャンプ場で直火禁止になったのはこうした心ないキャンパーのマナーの悪さが原因です。自然の恩恵を受けたのだから自然な形に戻すこと。焚き人として基本のマナーを守っていきましょう。

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