焚き火は法律で禁止されているの?|関連する法令まとめ

2021.05.27 (木)

「焚き火は法律で禁じられているの?」「家の庭で焚き火をしたらだめなの?」「公園はどうなるの?」「そもそも焚き火はどこでやったらいいの?」多くの人が抱く疑問ですね。

そんなときに参考にできる法令をピックアップしています。知っておかないと問題が起こったときに困るものばかりです。焚き火を日常的にたのしみたいときにはひと通り目を通しておきたい事項です。

※焚き火そのものを横断的に網羅する法律はなく、分野が多岐にわたり、それぞれに専門家エビデンスがあるわけではありません。あくまで一つの視点として参考にしていただくレベルに留めてください。

消防法

第三条 消防長(消防本部を置かない市町村においては、市町村長。第六章及び第三十五条の三の二を除き、以下同じ。)、消防署長その他の消防吏員は、屋外において火災の予防に危険であると認める行為者又は火災の予防に危険であると認める物件若しくは消火、避難その他の消防の活動に支障になると認める物件の所有者、管理者若しくは占有者で権原を有する者に対して、次に掲げる必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
一 火遊び、喫煙、たき火、火を使用する設備若しくは器具(物件に限る。)又はその使用に際し火災の発生のおそれのある設備若しくは器具(物件に限る。)の使用その他これらに類する行為の禁止、停止若しくは制限又はこれらの行為を行う場合の消火準備 
引用元:e-GOV法令検索「消防法」

現場を見つけて、消防署の人が危ないと判断したら、それをやめさせることができる、ということですね。自分は気をつけているつもりでも、近隣住民からの通報を受けて消防職員が駆けつけてくる可能性があります。その際には消防職員の指示に従ってください。

出火原因2位はたき火(令和2年)

5 出火原因の第1位は、「たばこ」、続いて「たき火」
総出火件数の 34,602 件を出火原因別にみると、「たばこ」3,098 件(9.0%)、「たき火」2,808 件(8.1%)、「こんろ」2,781 件(8.0%)、「放火」2,461 件(7.1%)、「火入れ」1,674 件(4.8%)の順となっています。
引用元:消防庁消防統計

このような統計もあります。焚き火は一歩間違える大惨事になります。言うまでもなく十二分な注意が必要です。ちなみに森林法での罰則規定もあります。

第二百二条 他人の森林に放火した者は、二年以上の有期懲役に処する。
2 自己の森林に放火した者は、六月以上七年以下の懲役に処する。
3 前項の場合において、他人の森林に延焼したときは、六月以上十年以下の懲役に処する。
4 前二項の場合において、その森林が保安林であるときは、一年以上の有期懲役に処する。
第二百三条 火を失して他人の森林を焼燬きした者は、五十万円以下の罰金に処する。
2 火を失して自己の森林を焼燬し、これによつて公共の危険を生じさせた者も前項と同様とする。引用元:法令検索「森林法」

廃棄物処理法

(焼却禁止)
第十六条の二 何人も、次に掲げる方法による場合を除き、廃棄物を焼却してはならない。
一 一般廃棄物処理基準、特別管理一般廃棄物処理基準、産業廃棄物処理基準又は特別管理産業廃棄物処理基準に従つて行う廃棄物の焼却
二 他の法令又はこれに基づく処分により行う廃棄物の焼却
三 公益上若しくは社会の慣習上やむを得ない廃棄物の焼却又は周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である廃棄物の焼却として政令で定めるもの
引用元:e-GOV法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」

「庭で焚き火をしていいの?」といったケースで関係しそうな法律です。三項にある「周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である廃棄物の焼却」とはどんなものでしょう。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令

(焼却禁止の例外となる廃棄物の焼却)
第十四条 法第十六条の二第三号の政令で定める廃棄物の焼却は、次のとおりとする。
一 国又は地方公共団体がその施設の管理を行うために必要な廃棄物の焼却
二 震災、風水害、火災、凍霜害その他の災害の予防、応急対策又は復旧のために必要な廃棄物の焼却
三 風俗慣習上又は宗教上の行事を行うために必要な廃棄物の焼却
四 農業、林業又は漁業を営むためにやむを得ないものとして行われる廃棄物の焼却
五 たき火その他日常生活を営む上で通常行われる廃棄物の焼却であつて軽微なもの
引用元:e-GOV法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」

五項にたき火が記されています。軽微なものであれば焼却禁止の例外ということになります。軽微であればいいのかというとそれだけではありません。近隣住民に迷惑が掛かるような行為はNGです。周囲に対する配慮を忘れないようにしてください。

ここでいう「廃棄物」とは、「ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く)(第2条)」を指します。

薪は廃棄物ではなく燃料です。そもそもごみを焼くのと焚き火は異なります。逆の言い方をすれば、焚き火ではごみを焼いたりしません。一斗缶やドラム缶でごみを焼くのは焚き火ではありません。認識まちがいがあるので覚えておきましょう。

軽犯罪法

第一条9|相当の注意をしないで、建物、森林その他燃えるような物の附近で火をたき、又はガソリンその他引火し易い物の附近で火気を用いた者 
引用元:e-GOV法令検索

上記に該当したときは罰せられます。つまり、注意を怠り、周囲に燃えるものがあるのに焚き火をした場合は軽犯罪法に引っかかるということになります。

都市公園法

(法第十一条第四号の政令で定める行為)
第十八条 法第十一条第四号の政令で定める行為は、次に掲げるものとする。
一 土石の採取その他の土地の形質の変更をすること。
二 動物を捕獲し、又は殺傷すること。
三 公園管理者が指定した場所以外の場所でたき火をすること。
四 公園管理者が指定した立入禁止区域内に立ち入ること。
五 公園管理者が指定した場所以外の場所に車両を乗り入れること。
六 はり紙、はり札その他の広告物を表示すること。
引用元:e-GOV検索「都市公園法施行令」

都市公園とは、都市計画区域内に地方公共団体が設置した公園、緑地や墓園及び都市計画区域外に都市計画決定し開園したものをいいます。公園の指定されていない場所で焚き火をするのは違反行為になります。

自然公園法

(特別保護地区)
第二十一条 環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、当該公園の景観を維持するため、特に必要があるときは、公園計画に基づいて、特別地域内に特別保護地区を指定することができる。
2 第五条第三項及び第四項の規定は、特別保護地区の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について準用する。この場合において、同条第三項中「環境大臣」とあるのは「環境大臣又は都道府県知事」と、「官報」とあるのは「それぞれ官報又は都道府県の公報」と読み替えるものとする。
3 特別保護地区内においては、次の各号に掲げる行為は、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う行為は、この限りでない。
一 前条第三項第一号、第二号、第四号から第七号まで、第九号、第十号、第十五号及び第十六号に掲げる行為
二 木竹を損傷すること。
三 木竹を植栽すること。
四 動物を放つこと(家畜の放牧を含む。)。
五 屋外において物を集積し、又は貯蔵すること。
六 火入れ又はたき火をすること。
七 木竹以外の植物を採取し、若しくは損傷し、又は落葉若しくは落枝を採取すること。
八 木竹以外の植物を植栽し、又は植物の種子をまくこと。
九 動物を捕獲し、若しくは殺傷し、又は動物の卵を採取し、若しくは損傷すること。
十 道路及び広場以外の地域内において車馬若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させること。
十一 前各号に掲げるもののほか、特別保護地区における景観の維持に影響を及ぼすおそれがある行為で政令で定めるもの
引用元:e-GOV検索「自然公園法」

自然公園とは、国立公園、国定公園、県立公園といった公園のことをいいます。特定保護地区での焚き火は禁止されています。

自然環境保全法

(行為の制限)
第十七条 原生自然環境保全地域内においては、次の各号に掲げる行為をしてはならない。ただし、環境大臣が学術研究その他公益上の事由により特に必要と認めて許可した場合又は非常災害のために必要な応急措置として行う場合は、この限りでない。
一 建築物その他の工作物を新築し、改築し、又は増築すること。
二 宅地を造成し、土地を開墾し、その他土地の形質を変更すること。
三 鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。
四 水面を埋め立て、又は干拓すること。
五 河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。
六 木竹を伐採し、又は損傷すること。
七 木竹以外の植物を採取し、若しくは損傷し、又は落葉若しくは落枝を採取すること。
八 木竹を植栽すること。
九 木竹以外の植物を植栽し、又は植物の種子をまくこと。
十 動物を捕獲し、若しくは殺傷し、又は動物の卵を採取し、若しくは損傷すること。
十一 動物を放つこと(家畜の放牧を含む。)。
十二 火入れ又はたき火をすること。
十三 廃棄物を捨て、又は放置すること。
十四 屋外において物を集積し、又は貯蔵すること。
十五 車馬若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させること。
十六 前各号に掲げるもののほか、原生自然環境保全地域における自然環境の保全に影響を及ぼすおそれがある行為で政令で定めるもの
引用元:e-GOV検索「自然環境保全法」

自治体ごとの条例

上記に加え、各自治体ごとに条例があります。焚き火ではなく「野焼き」という表現になっている場合が多いようです。都市部では、学校教育及び社会教育活動であればOKというニュアンスですね。詳細はホームページや窓口の人に確認するようにしましょう。

東京北区の事例


引用元:北区ホームページ

東京中野区の事例


引用元:中野区ホームページ

東京多摩市の事例


引用元:多摩市ホームページ

大阪市の事例


引用元:大阪市ホームページ

※当方本部がある自治体(埼玉ときがわ町)ではこのような表現になっています。

引用元:ときがわ町ホームページ

まとめ

ここまで焚き火に関連する法令を挙げてきました。

✅その場所が誰の所有で、焚き火をしていいのかを確認する
✅近くに延焼の危険がないかを確認する
✅風が強いときはしない
✅消火の準備をきちんとする
✅火をむやみに大きくしない
✅近隣に迷惑が掛からないようにする
✅必要なときは消防署に事前に届け出る

などを励行することが必要です。安全第一でマナーが守れないのであれば焚き火をする資格はありません。ルールが守れない人が増えると、普段の生活の中で焚き火ができなくなってしまいます。誰もが焚き火を囲んで笑顔になれるよう、今一度、認識を新たにしておきましょう。

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