本音コミュ二ケーションをひき出す焚き火研修の開発経緯とプログラム概要

2020.03.04 (水)

焚き火をツールとしてその場にいる人の本音をひきだし、心の通い合いをつくる焚き火コミュニケーション研修。月刊「先端教育」さんに取り上げていただきました。今回の取材を通じて研修の概要をまとめてみました。

焚き火コミュニケーション研修開発の経緯

これまでの社会人経験を通じてのテーマは「個人と組織」です。この二つを最大限に組み合わせるにはどうしたらいいかを考えて続けてきました。特に具体化したかったのは「その場にいる人が自然体でそのままの自分が出せる場」をつくることです。

焚き火コミュニケーション研修の開発に至るまでには、3つの経緯(実体験+理論学び+実践)があります。

サラリーマン時代の実体験(大手・ベンチャー・中小)

新卒から22年、大手電機メーカーの家電販売会社に所属しました。地域家電店と直接接する中、お客さま、現場のことを第一に考えて仕事をしてきました。社内でも本音でぶつかってきました。その結果、それでは事が進まない壁にあたってきました。

組織が大きくなればなるほど、個人が埋没していく現実を目の当たりにしました。本来は人の数だけパワーは加算されていくもの。でも実態は逆行していました。もっと力を発揮できる人なのに、組織の中では一面的な部分だけで評価されてしまいます。

一方で表面(うわべ)だけの話では根本解決にならないことも体感しました。もっと個人にフォーカスして本音のやりとりをするためにはどうしたらいいか?この時代にずっと抱えた課題でした。

その後、ベンチャー立ち上げメンバーになりました。前職バラバラ、個性のかたまり、入社目的もそれぞれの一匹狼的な営業マンのまとめ役でした。そんな彼らをまとめることは一筋縄ではいきませんでした。

わずか2ヶ月で会社の業績が悪化。倒産が見え隠れする苦境の中、お互いの本音をさらけ出し、わかり合える状態ができていきました。非常時にこそその人の本質が出てきます。こうした「修羅場の共有」ができたからこそできた最高のチームと感じています。必要なことは一人ひとりと本気で向き合うこと。実感しました。

そして中小企業へ移りました。全くコミュニケーションがない職場と高圧的なトップがいる中で起こることを体験しました。1年間にわたり仕事らしい仕事も与えられませんでした。社内コミュニケーションとは何か?仕事の意味とはなにか?を考えた期間でした。

理論と学び

サラリーマン末期から学びをスタートしました。カウンセリング、コーチング、ファシリテーション、チームビルディング・・・組織の中で実体験したことを解決するために多岐にわたるスキル習得を行いました。その一つひとつは体系化されていました。学びもたくさんありました。

ただ一つ、引っかかることがありました。それはそのいずれにもこちら側の「意図」が入るということでした。「作為的」なことに違和感を感じました。そうではなく、もっと自然体の素直な自分が出せる方法はないものか?その一点をクリアしたいと考え続けました。

独立後10年の実践・トライ&エラー

独立後、起業家育成を生業にしました。働き方にモヤモヤを感じた人と個別で向き合ってきました。その中でわかったことは一人ひとりが認められていないということ。認めてあげようと必死でした。ある日のこと、承認し、自己肯定感を高め、自信をつくるということを一貫してやってきたことに気づきました。

起業家になるには自分の中にある光るものを見つけることが必要です。そのためには目の前の人を多面的にみてあげる必要があります。個を掘り下げること、人”財”をひき出すことに始終してきました。

加えてグループワークを継続してやってきました。ジョハリの窓で言われているように、一人ひとりの多面性はチームでひきだし合うことで発見できることがわかったからです。

並行して講師業に携わってきました。経営者向け、リーダー向け、若手向け、職場コミュニケーション、モチベーションアップ、リーダーシップ、会議のつくり方など多岐にわたる研修講演を行ってきました。そのつど手を変え品を変え、アプローチしてきました。

でもこうした場は、どうしてもその場かぎりになることがわかりました。さらに技法に走りすぎることで相手の心がないがしろにされることがあります。あり方あってのやり方、こうした場で必ず最後に締める言葉です。

組織の中では立場、肩書き、しがらみ、制約があります。知らず知らずのうちに演じている自分がいます。つまり、その人の本当の姿はわからないということです。
もっとシンプルにお客さま起点で考え、本音で話し合えることが全て。本質的にそれが一番大事と考えました。

こうしてコミュニケーションという言葉に至りました。コミュニケーションとは「心と心の通い合い」をすることです。話すことだけではありません。やり方にこだわらない、手段は問いません。

行き着いた先は、人の心、自然体であることです。これまでやってきたことを総動員してもできないのは「人間の本能」にかかわる部分。ここを焚き火がサポートしてくれます。なぜなら火は人間の営みの原点だからです。

結びついたきっかけは、学生時代にやった焚き火のシーンを思い出したことでした。その場では、日頃話さないこと、言わないでもいいことまで話している自分や仲間がいました。心が解き放たれた感覚です。焚き火とコミュニケーションを掛け合わせる。これかも!と思った瞬間でした。

焚き火コミュニケーション研修概要と特長

コミュニケーションは場をつくることで活性化します。その場の中心に焚き火があります。本気で向き合う「対話」が行われることがベースです。

その場は、真の安全安心な場であることが必要です。心理的安全性とも呼ばれています。本来の自分をさらけ出す、素直になる、受け止める、心の距離を縮める、輪をつくる、居心地がいい空間をつくるなどの視点が必須になります。

単に自然の中、火を囲むだけではそれはできません。場をつくるという技術が重要。そのために焚き火をつくるプロセスに意味づけをしています。具体的には、焚き付け拾い、仕分け、組む、着火、育てる、熾き、あとかたづけという作業です。

「Do&Feel⇒Think⇒Grow」。やってみて、感じて、内省して、成長する。これが意味づけを促す基本のながれです。自然の中、五感を蘇らせることも重要なアプローチになります。

なぜ今この会社?というところから始まる人生の振り返りです。「人生の背景」を共有することでその場にいる人の心と心の通い合いの土台ができます。全てはここからのスタートであり原点です。人生の背景の共有なくして本当の関係性はつくれません。

⇒研修プログラムの詳細はこちら

焚き火コミュニケーション研修で得られる効果

心が解放される

精神的安定から心の解放が得られます。前提としてこれがないと本当の対話は成立しません。ここには転地効果の要素もあります。転地効果とは、日常生活を離れ、豊かな自然の中にたたずんだり、のんびりとした場所の空気の中にいるだけで、気持ちがリフレッシュされたりストレスがやわらげられたりするような働きのことを言います。

アイデアが湧き出す

五感が目覚めます。自然の中に身を置くことで得られる感覚に加え、焚き火をつくることで一度に五感が開くことを実感できます。五感が開くとアイデアが湧き出してきます。

フラットな関係ができる

焚き火をつくると子供の頃の純粋な気持ちになることができます。童心に戻ることで、今まで知らなかったメンバーの一面が見えたり、立場や肩書きを超えてさらにフラットな関係性をつくることができます。

自分とのコミュニケーション・他者とのコミュニケーション

火を見つめながらの内省の時間で自分と向き合うことができます。それをふまえメンバーと向き合っていきます。他者とのコミュニケーションは自分とのコミュニケーションがあってはじめて成立するからです。

リラックスと集中「いま、ここ」を意識できる

焚き火見つめることで心が落ち着き、同時に集中力が増してきます。両方が一度に得られるのは火の力がもたらす効果です。マインドフルネスで行われている要素を得ることができます。

しなやかな心をつくる

メンタルは強くないといけないという考えではうまくいきません。必要なことは強さでなく柔軟さです。お互いに弱みを見せ話すことで、相手を受け入れる大切さを知ることができます。お互いの思いやりと感謝、その意味を実感できます。

個をひきだす、個をつなぐことの意味を知る

自然な協働を促すことで、不便さの中で一つのことを成し遂げるには何が必要かを体験することができます。一人ひとりの個性を知ることで個を認めることの大切さを学びます。そして個人がつながることでさらに大きな力になること、本当のチーム力とは何かを体感することができます。

技法は心ありき

技法としては、書く⇒話す(放す)⇒フィードバックというサイクルを用います。この中で、カウンセリング、コーチング、ファシリテーションの技術を織り込んでいきます。ただし、決して技法には走りません。相手は人、心ありき、火の力を有効に活用していきます。

自律とは何か

前提で体験すること

☑人はみんな違う存在であること、それぞれの良さがあることを体感し、個性を尊重することの重要を知ります。「自分でもできる」を知り自己肯定感を高めます。
☑本音の対話と協働の中から、「聴く」「認める」「任せる」ことの意味を学びます。
☑変化の激しい環境下で常識にこだわっていてはいけません。答えに至るまでのやり方におはいろいろあります。想像力、創造力の両方を働かせ、答えはひとつではないことを知ります。
☑個を尊重し合うことでつながりが生まれる、チームになることとは?本当のチームとはなにか?を知ります。
☑お互いがつながるためにはコミュニケーションがいる、それは心と心が通じ合うことであることを知ります。

自らハッと気づくこと

いくら学んでもその場かぎりになります。「その人の内側からこれだ!という気づきが生まれないと行動には変わらない」起業家を育て、講師をやってきた経験から断言できることです。だから研修に意図を入れてはいけない、あくまで自らが自らの思いで動き出すこと、そのためのその環境をつくることに重きを置いています。

これが自律です。自律には自由と責任の両輪が必要になります。自由度がないと人は育ちません。でも自由だけでは社会的規範が不足します。気づきを生み出すには、場をつくる力と焚き火のコンビネーションが必要になります。その場をプロデュースします。

研修導入企業様の声

☑背伸びしようとしたけど、今のままでいいことがわかった。
☑みんなに受け止めてもらって、このままでいいんだと思うことができ自信がついた。
☑毎日顔を合わせているが、そんな一面があったのかと驚き、多面的に見れるようになった。
☑一人ひとりがみんな違う、個性を受け入れよう、一緒にやれば新しいものが生まれる。
☑一緒に仕事をするとはどういうことなのか、自分ができることをやる、できないことは頼ればいい。
☑自ら動くということを体験の中で学び、職場ではどうしたらいいかに気づいた。
☑役割分担、周囲への気配り、思いやり、感謝、承認。言葉で使っていたことの真意がわかった。
☑中途採用で周囲の目が気になっていた。言葉少なめ、胸のうちが話せた。悩みを共有することで仲間意識が強まった。

今後の展望・課題

まずはもっと認知してもらうことが直近の課題です。そのためにまずは体験してもらう場を広げていきます。いきなり外でというとハードルが上がるようです。またその効果自体も理解できないのが実情だと思います。実はいつもの会議室をキャンプ場に変えるだけで実施できます。気軽にご相談いただけるようにしています。

同時に場づくりできる人材育成も必要です。カウンセリング・コーチング・ファシリテーションを掛け合わせたコミュニケーションの場づくり技術と焚き火づくりの基本技術の両面をあわせてもった協会認定「焚き人コーチ」の養成を行っていきます。

単発の研修では定着に不足があります。反復して浸透していく仕組みも並行して開発中です。一度ではなく年間でフォローできるプログラムです。焚き火を入口として山や森との共存体験をする森林活用循環などSDGs持続的社会につながるテーマを目指しています。「ずっと続く」人の思い、仕事への情熱、会社経営が目標です。

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