焚き火は「子供返り」ができる場所
焚き火を囲むと素直になれます。僕たちは日常生活では周囲に対する対面や制約で肩肘張った毎日を送っています。そういう煩わしいものを開放することができます。その中の一つに「子供返り」ができるというのがあります。いわゆる童心に戻るというもの。焚き火がつくる子供返り状態とはどんなことなのか?そのあたりについて書いてみました。
知り合いの家では30年来自宅の庭で餅つきをやっているそうです。かまどに薪をくべてお米をふかすのだそうです。ご近所の高校生は子供の頃からずっと来ているとのこと。高校生になっても忘れられないたのしさがあるのではと知人は言っていました。
昔は何もなく火をおこしていたけど、最近は消防署に届けを出さないといけないとのこと。一度消防署に通報されてからみたいです。何だか世知辛い感じですね。
焚き火を始める前に必要な作業があリます。それが焚き付け拾い。焚き付けとは焚き火の火を熾すときに使う燃えやすい材料のこと。周辺の森や林に入ってスギの枯れ葉や小枝を集める作業です。
「スギッパって結構落ちてるものなんだ」「この枝は燃えそうかな」「こんなところに木の実が落ちてる」今まで普通に歩いていると気がつかないようなこと。意識を集中することで自然の中ならではの発見がたくさんあります。いい大人がキャッキャッ言いながら戯れます。まさに遠足に来てはしゃいでいる小学生という状態です。
焚き火の火熾し。火口のまわりに集めてきた焚き付けを乗せていきます。「これでうまくいくかなあ?」少し不安な気持ちでマッチを擦る。「あ、ついた、ついた!」歓声が上がります。それぞれが自分ができそうなことをやる。焚き火のまわりではそんな自然な協働作業が始まります。
火が落ち着くとお茶を片手に雑談がはじまリます。「さっきの林でAさんのあれ、面白かったねー」「取ってきて木の実どうしたの?」他愛のない会話が飛び交う。話したい人が話す。話したくなければ話さなくていい。火を見つめるみんなの顔は屈託のないとてもいい表情になっています。
焚き火を囲むと童心に戻れます。薪をくべたり、燃えている木を動かしてみたり・・・シンプルにそのことだけに集中できる自分がいます。知らないうちに子供の心にかえっています。
人は生まれたときはみんな同じ無菌状態です。でも育っていく環境に影響を受けながら、知らず知らずのうちに鎧をまとい始めます。余分なものが身に着いていくイメージです。みんな心の底では元々の自分でありたい、ありのままの自分でありたいと思っているはずです。
この場では男女や年齢のカベなんてなくなります。社会的立場なんてどこかにいってしまいます。みんながフラットな関係です。日が暮れるまで遊び続けた「あの頃」に誰もが戻れる。鎧をとったその人のウラ側や人間性を垣間見えることができる。そんな場を演出してくれるのも焚き火。焚き火がつくる場の深さは計り知れません。
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