焚き火をシゴトにしている理由

2017.01.22 (日)

名刺交換をします。「えっ?焚き火ですか?何ですかそれ?」「趣味ですか?」と訊かれます。「いえシゴトです」と答えます。「なぜこんなことをやっているのですか?」「なぜ焚き火を仕事にしているんですか?」次に来る質問です。焚き火を仕事にするなんて変ですものね。理由はいたってシンプルです。

僕は学生時代、野外活動研究会なるサークルに入っていました。仲間と一緒に日本全国を渡り歩きました。30キロ歩行、真冬のキャンプ、駅前で寝袋で寝る、登山などいろいろやっていました。キャンプをすると夜は決まって焚き火になります。森の中、海辺、高原・・・いろいろ場所があります。焚き火というとキャンプファイヤーをイメージする人が多いですね。焚き火は少人数で小さな火を囲むことです。

夜も更けてお酒を飲みながら焚き火を見つめていると、ポツリポツリいろんな話が出てきます。そんなこと言わなくてもいいのに・・・翌日になってはずかしくなるようなことまで話している自分がいたりしました。周囲の仲間もそうでした。素直な自分に戻れるあの感じ。あの瞬間がたまらなく好きでした。これが原体験です。

焚き火の前でお互いの裏側や背景も見え隠れします。かといって無理にしゃべろうとする必要もありません。話したくなかったら話さなくいい。火をぼーっとみていたり。薪をくべてみたり。とにかく自分のペースでいればいいのです。

その後、社会人になりました。現場と本部のハザマにいる仕事でした。現場では今こんな問題を抱えているのにj本部は自分たちの利権だけでやっている。そのことが許せませんでした。公式の場で進言しました。幹部批判までしてしまいました。サラリーマン失格人生を歩むことになりました。

そこに属する人がみんなで正しいことを共有する。その実現へ向けて一人ひとりの個性を出してそれを認め合うことで心ひとつになれる。本音でなんでも言い合える場がほしい。でも現実はなかなか難しいものがある。ずっと思い続けてきました。そこに学生時代のあの焚き火の光景が蘇ってきたのでした。これならいけるかも!これをやりたい!焚き火をシゴトにしようと思った理由です。

心理学で「安全安心な場」というものがあります。この場ならどんなことを言っても否定する人はいない。自分をさらけ出しても安心。みんな受け止めてくれる。認めてくれる。そんな場のことを言います。この場は意図的につくるものではありません。焚き火を囲むと自然なながれで安全安心な場ができます。

「そのままの自分でいられる場所」をつくりたいという想い。人はみんな子どもの頃は素直だったはず。でも大人になるにしたがって、育った環境や周囲の影響で知らず知らずのうちに鎧を身にまとい始める。意識してやっているのではなく、知らず知らずのうちにそうなっていく。そしていつしか「ありのままの自分」を出せる場がなくなっていく。

大人になると重い鎧をつけながら本当の自分ではない自分を演じ始めます。実はとても窮屈なものです。でもしょうがないのでそうします。知らず知らずそれが当たり前になっていきます。本当はそうではないのに。

人の原点は実はとてもシンプルなもののはず。焚き火はそんな「人の原点」を思い出せてくれます。火が人のもつDNAに語りかけてくるのかもしれません。原点回帰できる。それが一番の魅力であり、焚き火でつくりたい想いです。そうあなたはそのままでいいし、そのままがいいのです。

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