プライベートな焚き火コミュニケーションの場「Base Kokko」立ち上げ記録〜山林利用でキャンプ場をつくるために必要な準備

2018.01.25 (木)

山林を手に入れて自分だけのキャンプ場をつくる。アウトドアに親しんだ人なら一度はチャレンジしてみたいと思うのではないだろうか?僕も焚き火コミュニケーション事業を展開するにあたって、誰からも制約を受けることなく、自分が好きなときに好きなように焚き火ができるプラットフォームを求めていた。

約1年以上にわたって焚き火Baseをつくることに奔放した。誰に教わることもなく全くの未知の世界。手探りで壁にあたることだらけだった。本記事では焚き火Baseを開設するまでの体験談を紹介する。これからキャンプ場をつくってみたいという人のお役に立てば幸いだ。

 

場所を探す

まずは場所探しだ。これが最大の難関だった。とにかくどこで調べてどう動けばいいかが皆目見当がつかない。思いつくことをやってみることにした。

まずネット。集中して調べていると何件か出てきた。現地に行ってみたら住宅ぽかった、周辺に民家が多かったなど無駄足もたくさんあった。でもそのおかげでどういうところへ行けば欲しい物件がありそうなのかかわかるようになった。グーグルで何ページも深く調べて出てきた人や業者に掛け合いに行ったりもした。総じていうとネット情報には限界がある。地元の人は山林を売りたいからネットに載せるといった発想がないからだ。

次に人づて。僕の場合は埼玉のときがわ町と数年前から親交があった。地元の林業家さんと一緒にきこり体験会を開催したり、町の施設を利用してイベントを企画したりしていた。そうした経緯で少なからず地元の人の知り合いがいた。

そんな人たちに「キャンプ場をつくりたいと思っています。どこかいい場所ないですか?あれば紹介してください」とお願いした。何件か紹介してもらった。地元の人経由だけにネットより確かだった。でもどこまでいっても他人任せ。待っているだけで時間だけが過ぎていった。

知り合いは毎日グーグルマップで地図を開き、これはと思う場所を見つけたら登記所に行って公図を取り寄せる。公図とは土地の単位である一筆ごとに描かれている法務局備え付けの特別な地図のことをいう。そこから地主さんが誰かを探り地元の不動産屋に掛け合って交渉してもらう。簡単には真似のできない究極の方法だ。

山林は不動産屋がほとんど扱っていない。だから自分が欲しい条件の場所を自分で見つけてそこからあたるというのがベストのやり方になるだろう。待っていて出てくるようなものではないと思った方がいい。とてつもなく先が見えない作業の連続。覚悟して掛かることをおすすめする。

もう一つネックになるのが地目の問題。地目とは土地の現状・使用目的などによってその種類を示す分類名のことをいう。宅地、田、畑、牧場、原野、山林といったものがある。田や畑は農耕地になるので農家の資格を持っていないと購入できない。もしくは農地を農地以外のものにする農地転用が必要になる。これには高いハードルがある。

僕の場合は埼玉のときがわ町と人のつながりがあり絞り込んで探してきた。それだけでは狭い範囲なので物件の数にも限りがある。そこで飯能から秩父、長瀞方面まで範囲を広げて場所探しをした。また山林だけだと選択肢も広がらない。田舎情報や空き家バンクなどから情報を得ながら動いたりもした。

 

道路と水の確保

キャンプ場をつくるとき必須になるのが道路と水だ。この二つをクリアするのが至難の業だった。自然が残され人がいない場所を探したい。そうすると人里離れた場所を探すことになる。人がいないということは道もなくなるし水道も引かれていない。

道がなければ人は呼べない。建物を建てる際にも道路との隣接が必要になる。水道管がなければ話は前に進まない。仮に引き込み工事をしたら1メートル数万円で100メートル以上になったらそれだけで膨大な費用になる。安く山林を手に入れても現地までの道路をつくったり、水道を引き込んだりしてしたら非現実的な状況になる。

ある物件は道端に面した畑だった。水道管が道まで来ていたのでそこからの引き込み工事をする方法になる。他の物件は人里離れ民家がない場所だった。そうなると水道が来ていないので井戸を掘る方法になった。

 

排水できるインフラ整備

排水には下水道か浄化槽のどちらかが必要になる。人が住んでいないキャンプ場をつくるような場所には下水道はない場合が多い。そのときは浄化槽設置が必須になる。浄化槽とは、生活の中で発生する汚れた水をきれいな水にして川などに流すための装置のことをいう。

浄化槽には単独浄化槽と合併浄化槽の二種類がある。単独浄化槽はし尿(水洗トイレ)だけを処理するもの、合併浄化槽はし尿(水洗トイレ)とともに生活排水(台所、お風呂、洗面所、洗濯排水など)も併せて処理する浄化槽のことをいう。一般に浄化槽と言えば合併浄化槽のことを意味する。

浄化槽には5人槽、7人槽、10人槽といったサイズがある。どのサイズになるかを決めないといけない。建築確認を取った図面にどこに何を設置するのかをレイアウトする。このレイアウト図に基づき役場と業者とで協議しルールに則り人槽を決めることになる。

浄化槽の設置費用は町の補助金が対象になった。但し事業用ということになると個人利用の3倍の費用が掛かる。参考までに事業用として見積りをとったところ30万円強だった。(平成29年申請分)

次にその水をどこに流すのかを決める。場所の近隣の道端にU字溝がある場合はそこへ流すことになる。もし川に放流するときは役場や県環境管理事務所などへの確認が必要になる。その上で近くの川に排水を流せるか否かの許可をもらわないといけない。

浄化槽の補助金申請は12月末までのものが翌年2月までの工事になる。冬場に工事がしづらい場所のため、翌年4月の申請で5月ゴールデンウイーク明けの工事というスケジュールを提示された。費用については浄化槽を設置する場所を決めることから始まる。浄化槽から配管するところまでの測量を行い見積りが出る。

 

許認可の確認

事業としてやるなら最低限必要な許認可を取らないといけない。関係するものとしては旅館業と飲食店営業がある。いずれも所轄の保健所が窓口になる。旅館業はいつつかの分類のうち簡易宿泊所営業というものに該当する。下水道、トイレ、浴室、客室の面積などで決まり事がある。飲食店営業については場所だけ提供して来た人が勝手にやるようなものなら許認可は要らないが、こちら側で食材を提供すると飲食店営業になる。自分のやろうとする範囲で手続きをとろう。

 

土地の成形をする

土地が手に入ったら手を入れないといけない。斜面であれば土を盛って平面にする。余分な木があれば伐採するなどだ。自分でできることは少しずつ自分でやるのが基本。ただ一方で重機を入れないとできないこと、プロに任せないとできない範囲のものもある。敷地内の木を伐採するときも役場に届け出が必要になる。事前に必要な手続きと掛かる費用を見込んでおかないといけない。

 

建物を建てる

建物を建てたり既存の建物を使用する場合は建築確認が必要になる。窓口は役場と建築安全センターと呼ばれるところになる。公図や測量図を持参して相談する。公図や測量図は所轄の法務局で入手する。

最初にあたった物件では既設の建物を利用して管理棟にしようと考えた。これまで個人が週末に別荘として利用していたもので建築確認が取れていなかった。その後個別対応として使用許可が出ていたレベルで了承を得たがそこに至るまでかなりの時間を要した。

建築確認に加え、場所が災害指定地域になっているか否かの確認が要る。担当部署は県土事務所という窓口になる。地域によっては建物が建てられないケースがあるので注意が要る。

シャワー・トイレ・流し設備がないため、これらを追加する際にも建築確認の有無がどうなるかが問題となった。結果10平方メートル以内の設置であれば建築確認は不要ということになった。役場の建築担当だけでなく、建築基準法関係ということで建築安全センターへも全体像を話す必要があった。

小さな役場であっても建築関係と浄化槽関係で縦割りになっている。役所はどこまでいってもこんな感じ。一か所で完結するものはなくあちこちたらい回し状態になる。その分手続きにはそれなりの時間が掛かると思っていた方がいい。

 

火災関係の手続き

最初は警察に行った。そこで消防署分署に行くように言われ後日打合せを行った。届け出としては、消防法上の防災対象物として管理棟の使用開始届が必要になる。様式は消防本部のホームページよりダウンロードできる。事業スタート1ヶ月前までに消防署の予防課に提出する。その際、所在地の案内図(グーグルマップなどで可)、建物平面図、立面図(もしくは4方向からの写真)、面積、収容人数などがわかるものを用意する。任意だが消火器を設置している写真があるとベターだ。

それ以外は特に強制はない。アドバイスとして次のようなものをもらった。初期消火できる準備をする(赤いバケツで川から水を汲んでこれる)、野火は良くないので火を扱う場所を指定する、火気の使用に関しての注意書きを掲示する、タバコの喫煙スペースを設ける、強風などの気象条件により火気使用を制限する、応急手当できる救急セットを用意するなどがある。

 

資金を用意する

これまでいろいろと準備に必要なことを書いたが肝心のお金がないと始まらない。掛かる予算を決めあらかじめ資金調達しておく必要がある。僕の場合はうっかりこれができていなくて土壇場で苦労した。

まず大まかな予算感だ。仮に水の何も来ていない山林を300万円程度に手に入れたとする。水道もしくは井戸で水を入れる費用、浄化槽の設置費用、電気工事費用、土地の整備費用、トイレ・シャワーなどの設置費用、ユンボの免許および免許費用、チェーンソーなどの機材費用などを加えると軽く1000万円を超えるイメージになる。安く山林を手に入れたからといってよろこんでいるようなものではない。

資金を調達できる手段は公的なものか民間の金融機関になる。事業資金の融資には運転資金と設備資金の2つがある。担当者は「運転資金ですか?設備資金ですか?」と最初からわかったように訊いてくる。まずその違いを大まかに理解しておいた方がいい。

次に気をつけたいのが対象範囲。僕の場合、市の融資制度では土地購入が対象にならなかった。県の制度の一部に土地が対象のものがあったが過去事例がないので不確定要素が高かった。いけると思って高を括っているとその時になって慌てることになるから要注意だ。

そこで並行して日本政策金融公庫と最寄りの信用金庫に相談した。気をつけたいのは融資実行までの期間が長いこと。審査を通過してからになる。いずれも融資実行までには1ヶ月程度を要する。
良い物件が出てきたところで資金の算段ができていなかったらその先に話は進まない。当たり前のことだがさあやるぞという段階になって地団駄を踏まないといけなくなる。

僕の場合はタイミング的にログハウス物件も出てきたので住宅ローンという選択肢も出た。ところが既に自宅としてのローンがあると追加の住宅ローンは厳しくなる。当時セカンドハウスローンをやっているのはイオン銀行とフラット35を手掛けているアルヒ。双方にアプローチした。

イオン銀行はネットからの申込。事前審査をパスした後のやりとりに時間が掛かった。一方アルヒには店頭相談に行った。翌日には事前審査の結果出てスムーズに事が進んだ。一概にどちらが良いとは言えないが担当者次第というところだろうか。

 

まとめ

誰の手にも掛かっていない山林をゼロからキャンプ場に仕立てていく。まさに開拓者そのもの、夢とロマンがある。その分実現するには相当数の労力と時間とお金が掛かる。取り組むに価値はあるが覚悟して臨む必要がある。だからこそやりがいがある。ぜひ実現してほしい。

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